家計管理に重要な「ボスキャラ」の攻略とは?

「家計のことを考えなきゃ」というきっかけにもいろいろとありますが、それぞれのライフステージによって、必要になるファイナンシャルプランも違ってきます。 たくさんある「お金を増やす」「お金を節約する」プランのなかから、わが家にとって「やるべきこと」を確実に実行することは大切なことです。 ただし、ひとつの問題や課題が解決しても、「ボスキャラ」の存在を知り、攻略法を確立するまで油断は禁物です。

さて、「ボスキャラ」とは……、ずばり、「生活費」です。

「いやいや、ずばりって……」と感じる人も多いと思います。 住宅ローンとか生命保険料とかであれば「ずばり」となるかもしれませんが、「生活費」では、漠然としていますよね。 しかしながら、長期的な家計を分析していると、生活費というのはまさに「ボスキャラ」と呼ぶにふさわしい存在感なのです。 「人生の三大支出」という言葉をよく目にしますが、「住宅費」「教育費」「生命保険料」などの支出総額は確かに大きいものです。 「生命保険料」の代わりに「老後生活費」が入ることも最近はありますし、それなら現役時代の生活費が入ってもおかしくありませんが、あまりにも桁外れの存在なので違和感があるのでしょうか。(笑)

まぁ、生活費のなかに、たくさんの支出項目がありますから、全部まとめて「人生の最大支出」とするのも無理があるかもしれません。 しかしながら、「ボスキャラ」と呼ぶにふさわしい存在感であることは間違いありませんから、攻略するための考え方について私の持論を少しばかり。

家計分析

 

まず、わかりやすいところで例を挙げることにします。 例えば、住宅ローンの繰上げ返済(期間短縮型)をしたところ、総返済額で300万円の節約ができたという場合です。 計算上、300万円の利息分を節約できたことは間違いありませんが、問題は、その300万円の行き先です。 同じようなことですが、繰上げ返済(返済額軽減型)をしたところ、月々の返済額が1万円少なくなったという場合に、浮いた1万円の行き先はどうなったのでしょうか。

住宅ローンの繰り上げ返済に限りませんが、なんらかのプランを考えるときには、きっかけがあったはずです。 その多くが「節約したい」というものであることはわかりますが、「節約」の目的にもいろいろとあります。 「もっとお金を貯めたい」から節約をする場合があれば、「もっとお金を使いたい」から節約をするということだってありますから。

「人生の三大支出」と呼ばれるような支出項目について知ることは、もちろん大切なことです。ただ、それらの支出について上手に準備ができたからといって、それだけで安心していてはいけません。 「人生の三大支出」を除いた、「その他大勢」を全部まとめて「基本生活費」と考えたとき、ごく当たり前の「日々の暮らし」の積み重ねこそが、長期的な家計に大きな影響を与えていることに気づきます。

「日々の暮らし」を考えるとき、毎月いくらでやり繰りしているのか、その結果、1年間にいくらの生活費を使ったのかという感覚を持っておくことは大切なことです。 教育費や住宅費などの大きな支出を除いて、通信費や食費、水道光熱費などの支出を全部まとめて、例えばわが家では毎月25万円でやり繰りしているという場合には、年間で300万円の基本生活費になります。 1年間の家計を振り返ったときに、1年間にできた貯蓄額などから逆算してみて、大きな誤差がなければ問題はありません。 誤差が大きい場合には、考えている以上にお金を使っていたということになりますが、それ自体が「いけないこと」とか「問題がある」ということではなくて、実際に1年間に支出した金額を把握しましょうということです。

「月々いくら」、その積み重ねでだいたい「年間いくら」、それくらいでやり繰りしていれば、わが家の暮らしはだいたい大丈夫……、という「目安」というか、「モノサシ」を持っておくことは大切なことです。 それほど難しいことを考えなくても、家族が望む「わが家らしい暮らし」を続けることができるような、「居心地の良い」家計の状態を見つけておきたいものですね。

ファイナンシャルプランは、あくまでも希望するライフプラン(生き方・暮らし方)という「目的」を実現に近づけるための「手段」です。 何をするにしても、まずは、ライフプランを考えることからですよ。

 

豊かで安心な暮らしのために、ライフプランは基本です