リタイアしたら、「戸籍をたどる旅」はいかがですか?

「終活」という言葉は、人生の終焉期について事前に準備しておこうという活動全般を指しています。 当初は、葬儀やお墓など、または、エンディングノートや遺言にまつわることというイメージが強いものでしたが、現在では、より幅広い活動を指すように変化している感じがします。 私自身も「終活」はライフプランと一体のものであり、老後の「生き方・暮らし方」を、より豊かで安心なものにするための活動全般と理解しています。

終活もライフプラン

 

ライフプランを考えるときも同じですが、「終活」でも希望する「生き方・暮らし方」につい具体的に描いてみることが必要です。 そのため、特に「終活」では、「人生のたな卸し」をしてみることが効果的です。 エンディングノートを作成する場合、自身の人生を振り返ることから書き始めるケースが多いのもそうした理由からです。

「人生の棚卸し」のひとつに、自分自身の戸籍を集めてみるというのはいかがでしょうか。 相続が発生すると、いろいろな相続に関する手続きが必要になります。 相続税の申告までは必要ないにしても、被相続人が保有していた金融機関の口座については名義変更をする必要がありますから、相続人になれば、誰もが経験することでしょう。

金融機関での手続きの際、「亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本と、相続人全員の印鑑証明、実印をご用意ください」と言われます。 遺産分割協議書については金融機関の書類で代用する場合が多いと思いますが、被相続人の戸籍謄本を集めるのが、なかなか大変な作業になるケースもあります。

そもそも、どうして、出生から死亡までの戸籍謄本が全て揃わなければいけないのかということについて特に説明はないと思いますから、なかなか集められない場合には、結構なストレスになってしまいます。 何故、亡くなった人の戸籍謄本を全て揃えるのかというと、相続人を確定するために必要だからです。 つまり、相続人全員が間違いなく同意していて、今後、「私も相続する権利があるはずなのに」という人が出てきて問題になるようなことを防ぐためです。 必要な理由がわかれば、いったん提出した戸籍謄本について「不足しています」という連絡が金融機関からあっても、戸惑うことも少なくなるかもしれませんね。

さて、そんな戸籍を集める作業ですが、私が経験したケースでは、実に半年もかかったことがあります。 その時に集まった戸籍謄本は全部で30枚以上でした。 結婚・離婚だけでなく、遠方の両親との同居や、また引越しなどが多かったこともありますが、他にも「なるほど!」と思ったことがひとつあります。 それは、「平成の大合併」です。 平成11年から政府主導で行われた市町村合併ですが、そのおかげで、過去に住んでいた市の名前が変わっていて、問い合わせ先を探すのにも四苦八苦という状態でした。

私の両親なんかの場合には、二人とも生まれてからずっと同じ市内に住んでいるので、そうした心配はありません。 「元気なうちに戸籍謄本を集めておいてね」と頼んでおくこともないかと思いますが、なんとなく思い当たることがある場合には、事前に集めておいてもらうことも必要ではないでしょうか。 近所に両親の兄弟姉妹など、親戚がたくさん居る場合には、いろいろと聞くこともできますが、そうじゃないときはやはり大変です。 子どもにしてみれば、聞いたことのない名前がずらずらと登場するわけですから。

自身が生まれたときからの戸籍謄本を一度集めてみて、そこに登場する人物のことを思い返してみる。 また、夫婦で、家族でそんな思い出話しをしてみる。 まさに、自分自身のたな卸しのきっかけになると思います。 現実にツアーが企画されているわけではありませんが、「戸籍をたどる旅」、いかがでしょうか。

 

終活にも、ライフプランを

 

 

 

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